近年、少子化と晩婚化、地元を離れる人の増加によって、お墓の維持が困難になっています。お墓を作りたいけれど継承する人がいない、経済的な理由からお墓を建てられない、子どもや孫に維持管理の負担を負わせたくないなど、いろいろを問題が出てきています。若い世代がどんどん都会に出ていって、お墓を守ることが難しくなっています。
そこで近年はお墓を持たない方法も考えられています。
なにも特別な方法ではなく、昔のように海や森に帰っていく「樹木葬」「海での散骨」などから、合同墓で一緒に供養していく方法です。
この度は、お墓を持たないことにメリットとデメリットを考えていきたいと思います。
お墓を持たないメリット
経済的に負担がない。
維持管理の手間がない。永代供養さえしておけば、その後の供養も任せられ継承者がいなくても安心
子どもや孫に負担をかけない。
合同のお墓に入ることで、「寂しくない」といった考えや、死後に安心を覚える。
そもそもお墓がないのだから無縁にもならない
お墓を持たないデメリット
家族や周囲との意見の相違があった時にドラブルが起こる。
赤の他人と一緒にされることを嫌がる人もいる。
樹木葬の場合、管理元の能力によって10年後には良くも悪くもなる。自然に山に戻るか荒れ果てるか、まだまだ実験段階である。
一度手元を離れたら、御遺骨と一生別れてしまう。
ゼロ葬もあるが、お骨すべてを斎場で焼き上げるという事は、棺や花や保冷剤などのゴミと一緒に、産業廃棄物で捨てられて終わる。
お墓を持たない供養の方法
「死んだらお墓に入る」という常識が段々と変わってきています。それでは、どのような方法であれば、お墓を持たずに供養をし、故人を弔っていくことができるのでしょうか。
永代供養(合同墓)を利用する
お墓を持たないと言っても、個人で管理すれば管理費用も手間も必要ですが、多数で利用する合同墓であれば負担も少なくなり便利でしょう。永代供養とは、遺族に代わってお寺が遺骨を管理・供養していくことです。昔からあった方法ですが、近年は少子化や子どもが遠方に住んでいることから、改めて注目される方法となっています。
樹木葬や散骨を利用する
墓石の代わりに樹木を植えて、そこに埋葬する方法です。メディアでも取り上げられ、自然に帰ることがら人気が出ています。従来の墓石が並ぶ区画では植樹が認められていないので、樹木葬専用の区画である必要があります。
散骨では、墓地埋葬法や自治体のルールに従って、粉末化した骨を撒く方法です。他人とのトラブルを避けるためにも、個人の判断で行うことは辞めて、業者に委託しましょう。
手元供養にする
納骨する場所を決めずに、ずっと手元に置いているケースもあります。他の供養に比べて、亡くなった方をより身近に感じることができるのですが、あまりオススメしません。
御遺骨は、自宅に撒くことは出来ません。例えば、隣家が骨を埋めている所に遭遇した場合、普通はいい思いはいません。土地評価額の査定基準に墓地など隣接する場所は、相応の評価になるように、宅地での散骨・納骨は近隣とのドラブルになりかねません。
夫婦のみの世帯で、夫の御遺骨を手元に置いておいても、やがては家の片付けには遺骨をどこかに納骨する必要があります。
やはり納骨は、どのような方法であっても1周忌、遅くても三回忌までには落ち着いた場所に納骨するべきでしょう。
遺骨であっても故人様と離れることが辛いといった場合には、事前にお寺などご相談いただければ特別に対応したいと思います。
まとめ
お墓とは、家族・親族が集まれる特殊な環境です。大切な方に思いを馳せながら家族の絆を深め、命の尊さを学ぶ機会でもあります。社会構造の変化によって、お墓を持つことに抵抗を持たれる事が多いことかと思いますが、自分の問題だけではなく、残された者の負担にも関係しますので、よくよくご相談した上で決められるべきでしょう。
若くて、健康で、元気なうちから少しずつ準備をしておくことをおすすめします。